第一話

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「どう考えてもあんたがお兄ちゃんやなくて、私がお姉ちゃんの方やろ?どう見たって、私の方がしっかりしてるやん!たぶん」 「お姉ちゃん…」 「そうや。妹キャラやないし、私。どちらかと言うと、大人なお姉ちゃんキャラやしな」 岡崎櫂は、プッと吹き出すと、「それでええよ」と頷いた。 時乃はバイクのアクセルを回す。 ゆっくりと走らせ、庭から出た。 「じゃーね、岡崎君」 「櫂でええよ」 不覚にも固まってしまうと、岡崎櫂は玄関先に戻って、楽しそうにヒラヒラと手を振った。 「時乃、気を付けて帰りや」 「こっちは時乃って呼んでええって言ってないけど!?」 聞こえているはずなのに、彼は聞こえていないふりをして、無邪気に手を振る。 時乃は嘆息すると、軽く手を上げてからバイクを走らせた。 坂を下りながら、ちらりとサイドミラーを確認する。 時乃がカーブを曲がるまで、岡崎櫂の姿がミラーの端に映っていた。 「変な奴」 ポツリと呟く。 再び車体と体をバウンドさせながら、時乃は長い長い坂を、下って行ったのだった。 ◇ ◇ ◇
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