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「さっきも、そうだ……ひとつになって幸せなはずなのに、急に不安になって苦しくて、どうしたらいいのかわからなくなる」
ゴメンと小さな呟きが耳元をくすぐり、俺は小さくため息をついた。
「面倒臭い奴だな、ヤッてる時はやる事だけ考えてろよ」
「……うん、ごめん」
「俺があんなクソこっぱずかしい事されてもお前の事が好きで仕方ないって、もはや奇跡だと思えよ」
「奇跡……」
「ありえねぇ事が日常になってんだからもう奇跡だろ。俺の人生の中でお前って存在がもうすげぇ奇跡だし」
うまく言えなくて、ごまかしでハルの腕に噛み付くと、痛いと小さな声が聞こえた。
「不安になるならしょうがねぇよ、したらいつでもいくらでもゆってやる。俺にはお前が必要だ、だから一緒にいる、わかれボケ。したら少しは安心するか」
返事はない。
けれど、首筋に唇が押し当てられ、ぎゅうと力一杯に抱きしめられた。
面倒臭い奴。
痛ぇし。
(あんだけヤリまくった後に弱気発言とか、アホだよな)
でも、嫌じゃない。
「嫌じゃねぇよ、お前のそういうとこ……」
その言葉を最後に、今日も俺達は肩を並べて眠りについた。
<終>
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