それぞれのクリスマス(亜久里編)

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それぞれのクリスマス(亜久里編)

笑福亭には、馴染みの常連客や昔からよく知る地元の人達か集まり、笑福亭 プレオーブンと題してのクリスマスパーティーが賑やかに開かれていた。 和気あいあいとした、その輪の中に、萩原の姿もあり、亜久里は久しぶりによく、笑い、リラックスしている様子だった。その場に、勇紀の姿がないこともあったか。 数か月前、勇紀は、いきなり家を飛び出すと、そのまま、亜久里の前から、忽然と姿を消えした。 亜久里は、心底恨んでいる男が居なくなり、せいせいする一方で、自分の事を馬鹿だと思いながらも、あんな勇紀を気にかけている自分がいた。「悪(わる)をつくった、悪が一番の悪。」まだ、子どもの勇紀を見ていると、そう思わずにはいられない。 外見だけは、取り繕うように、鎧を纏うが、中身は、ただの、愛を欲しがり、泣く赤ん坊と一緒だ。 泣いたって、叫んだって、手に入らないもの --- 心 俺の自由な魂でいつだって、あの人の幸せを願うよ。無私の愛、それが、俺の愛の形・・・ 亜久里は、彗を想い、クリスマスを祝った。 笑福亭の店内は、みんなの変わらぬ暖かさに包まれ、微笑みが溢れていた。「年明けのオーブン目指して、もう、人踏ん張りだ。」亜久里は決意をあらたにしたのだった。 雨の中、ずぶ濡れで立ち尽くす。。。男。 勇紀は、遠くから、亜久里を眺めていた。明るい表情、元気そうな様子を見て、自分が亜久里の元を離れただけで、こんなにも、彼が生き生きとする現実に、心は打ち砕かれた。 最後に亜久里を抱いた時、どんなに、勇紀の口で刺激をしても、勃たないぺニスにローターをあてた。振動が、亜久里の快楽を呼び覚ましても、射精まで至らず、虚しい機械音が淋しさを強調するだけだった・・・ どうにか、亜久里の心を揺さぶり、引き止めたく、無抵抗の尻を左右抉じ開け、狂った愛を含んだ陰茎を捩じ込んだ。 冷たい身体は、まるで、人形を犯しているようで、白い液は空空しさと混じると、地面に吐き出された唾のようだった。 「人を傷つけたり、脅したり、殴ったり、騙したりはいけないことは、中途半端に育った俺でもわかるよ。けど、それを全部やってきて、咎める奴なんか、今まで、一人もいなかった。なのに、亜久里の目が俺を裁く。」 歪んだ世界で生きてきて、今さら、全うな生き方はできないし、そのやり方を、俺は知らない。死んだら地獄へ・・・・行くのかもしれない。その前に、ガラにもない事をしよう。勇紀の指が、携帯に保存された全ての動画を・・・消去した・・・ 初めて愛した男の幸せを願って。メリークリスマス。
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