第2章 大人の事情

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* 小学校に上がると、一つ上の滋は学年も違うのにいつも教室に迎えに来てくれていた。守るように私のそばにいて、一体何から守ってくれているのか。 低学年ではそんなに嫌がらせなどはなかったけれど、中学年になってくると、女の子の嫌がらせが始まった。 滋がいない時を狙って、クラスの女の子は私の家の前まで来て、私を突き飛ばしたり髪を引っ張ったりしてくる。私は構いたくなくて、ただ時間が過ぎていくのを待つしかないと思って耐えていると、そこに範子おばちゃんが駆け寄ってきて、 「ちょっと?!あんたたち何やってんだ?!雪子は私の娘同然なんだよ!!」 と怒鳴って、玄関脇に置いてあったホウキを持って振り回して女の子たちを追い返すと、私は蹲っていたけど、ゆっくりと立ち上がった。 「雪子ちゃんも、もっと刃向かいなよ!」 「めんどくさい。じっとしてれば、いつか、終わる」 「自分が怪我しても?痛い思いしても?」 範子おばちゃんは私を叱るようにキツく見つめてくると、私は小さく頷いた。すると、おばちゃんはチッと舌打ちするなり、私の腕を掴んで範子おばちゃんの家にくると、靴を脱いで二階に駆け上がった。 「おばちゃん?!」 「あんたに喧嘩教えてやる!」 「え?!やだ。わたし、喧嘩なんてしない。暴力反対!」 私はおばちゃんに背中を向けて帰ろうとすると、おばちゃんは私のランドセルを掴んで背中から下ろすと、床に放り投げた。
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