第2章 大人の事情

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でも、その寸前で止める。それだけで、威力は十分。 そうして、同級生の女たちは、私に二度と嫌がらせをしなくなった。その代わり、私の周りには誰もいなかった。 滋以外は…。 * 中学に上がって最初のお盆で、私の家にお父さんとお母さんが揃い、範子おばちゃんも滋とやって来た。みんなで、お墓参りに行った帰りに、お母さんがアイスティーを入れて、私を挟んでお父さんとお母さんが座り、向かい側に範子おばちゃんと滋が腰を降ろした。 「滋と雪子も大きくなったわ。だからね。ちゃんと話しておきたいことがあるの。聞いて欲しい」 お母さんが珍しく真面目に言うと、私と滋は同時にお母さんを見上げた。お父さんは黙ってアイスティーを飲んで、俯いているだけで何も言わない。 おばちゃんはお母さんと目を合わせて、小さく頷いていた。 それは、4人のそれぞれの馴れ初め。簡単には聞いていたけど…。 高校時代、範子おばちゃんは滋の亡くなった父親である亜樹さんと出会って恋に落ちて、すぐに付き合い始めたそうだ。範子おばちゃんはその頃、ちょっと(いや、多分…かなり)不良っぽかったらしい。喧嘩っぱやくて、先生ともよく喧嘩したとか。 高校で、お母さんは範子おばちゃんと同級生として出会って、正反対の二人なのに仲良くなっていったんだ。で、お母さんは不良っぽい亜樹さんとの付き合いを猛反対していたんだって。亜樹さんは年上の大学生。
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