第2章 大人の事情

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範子おばちゃんとは、不良の溜まり場とかで出会ったそうだ。 同じころ、別の高校に通っていた範子おばちゃんの幼馴染みであるお父さんも、範子おばちゃんと亜樹さんの交際を反対して、家の前で文句を言おうと待っていて、そこで4人が初めて顔を合わせたんだ。その時、お母さんとお父さんは範子おばちゃんを通して知り合って、友達になった。無愛想なお父さんと明るいお母さんは、なかなか恋人まで発展していなかったらしい。 高校を卒業してから、亜樹さんの家が実はかなり裕福で、どこかの食品会社の社長の長男だということが分かった。範子おばちゃんも知らなかったという。普通の家、むしろ貧しいほうだという範子おばちゃんは、亜樹さんと別れる決心したらしい。しかも、最悪なことに、亜樹さんは無理やり見合いをさせられて、その相手がうちのお母さんだった。お母さんも、料理業界でかなり有名な家庭で生まれて、兄弟もいたそうだけど、娘はお母さん1人だけだそうだ。お母さんはそんな家族のことがコンプレックだったらしい。でと、逆らえず、結婚も本人の意志ではなかったんだ。 だけど、お父さんが、お母さんと亜樹さんの婚約披露パーティーに乗り込んで行って、みんなの前でお母さんの腕を掴んで連れ去ろうともがいたらしい。あの冷酷で無愛想なお父さんにも、そんな激しい感情があったなんて。警備員にも止められて、二人は引き離されそうになった。
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