第3章 無邪気な笑顔

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滋はため息をつくと、 「そういうのよくわかんないけど。でもずっと一緒にいたじゃん。雪子のことを理解してやれるのは、俺だけだと思うなぁ」 と言って頬杖をつくと、私は冷蔵庫を開けてほうれん草とベーコンを取り出した。 「滋は、モテてめんどくさいから、逃げるために私を利用しようとしてるだけよ。本気じゃない」 「…それだけじゃないぞ」 「信じられない」 「じゃ、お前も俺と同じ高校に入れよ。そんで、そこで誰かに出会えたらいいし、高校3年間なにもなかったら、卒業するとき、もう一回告ろうかな」 「ふぅん」 「もしお互いに別に好きな人ができた時は、おめでとう代わりに、なんか奢れ」 滋が私を指差して言うと、私は滋を睨んで首を傾げた。 「は?何よ、それ」 「そういうのがあれば、勉強はかどるかな、って」 「人をダシに使わないでよね」 ベーコンとしめじをカットしてフライパンで炒めると、茹で上がったパスタをザルに開けて、エキストラバージンオリーブオイルを軽くまぶして和えておく。そして、ベーコンとしめじを炒めて塩胡椒を振ると、茹で上がったパスタに和えた。そしてお皿に盛ると、ほうれん草を上に乗せて軽く粉チーズ…ではなく、焼きのりを手で揉んでパスタの上にかけた。
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