第3章 無邪気な笑顔

5/10

304人が本棚に入れています
本棚に追加
/226ページ
「パスタ食べたら、大人しく帰ってよね」 「はいはーい。って、2人分?」 お皿は2つ。テーブルに持っていくと、滋の向かい側に腰を下ろした。 「私も食べたくなったから。…あのね。でも、もし付き合わなくてもいいの。私、滋とのこういう関係、嫌いじゃないのよ。女友達がいない私には、滋しかいなかったわ。だから、もし別々に誰かできても、親友でいてくれる?友達の方が、別れたりすることはないでしょ。一生そばにいられる。滋とは、そういう関係でいたいと願うわ」 私がフォークを持ってそう言うと、滋は少し驚いていたけど、私を見つめてフッと微笑んだ。 「言えてる。」 「でしょ?」 私たちはそう言って、同時に笑い合った。 そう。 友達でいた方が、ずっと続く。別れることもない。遠く離れたとしても、一生友達でいられる。その方が、素敵だと思わない? 私は、心からそう思った。 滋も、付き合うとかそんなことを言ったのは、その日が最後だった。 2人とも、気がついたの。 一生そばにいるために、ずっと友達でいることを。 綺麗事じゃなくて。 友達としてのほうが、私と滋は楽しくやれると思ったから。それはきっと、嘘でも間違いでもなかった。 私は、一生の友達を手に入れたんだ。
/226ページ

最初のコメントを投稿しよう!

304人が本棚に入れています
本棚に追加