304人が本棚に入れています
本棚に追加
/226ページ
髪を後ろで一つに結って白いリボンを巻いている。そんなに髪は長くなさそうで、私はショートボブだから、私より少し長いくらいかな。
ジッと見つめていると、校門を出たところで、梶原さんは私の腕を離した。
「じゃ、ここでいいわよね?また明日。バイバイ」
「え?」
梶原さんはニッコリと微笑んで、手を振って帰っていった。
初めて会話した。
無邪気な笑顔。汚れのない無垢な微笑み。孤独など、カケラも知らなそうな…。
「いいなぁ。ああいう、自然に笑えるひと」
そう呟いて、私は歩いていった。
「あ、お礼、言うの忘れた」
そんなことを思い出して、顔を上げた。でも、もう梶原さんの背中は見えない。
はやっ。
*
翌日。
教室で梶原さんを見た。クラメイトの女の子と2人で話をしている。昨日はポニーテールだったけど、今日は降ろしている。髪を下ろすと、大人っぽく見える。どっちにしても可愛い女の子だ。
ところで、いつお礼言おう。
急に言うのも、どうかと思うわよね。びっくりさせちゃうよね。
休み時間。
お昼休み。
放課後…。
「じゃあ、また明日ね!」
梶原さんは、放課後はすぐ教室を出ていくと、あっという間に姿が見えなくなった。
今日も帰るの、はやっ!
最初のコメントを投稿しよう!