第3章 無邪気な笑顔

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そう思っていると、クラスの男の子数名と、梶原さんがよく話していた女の子が梶原さんの話をしていた。 「梶原さん、明るい女の子だよね。屈託なく笑うと、可愛いし」 「悩みとかなさそう〜!」 からかうように男子が話している。 馬鹿みたい。悩まない人なんて、いないわよ。言わないだけで…。 私はそう思いながら、鞄を机の上に置くと、その女の子は頭を横に振った。 「あの子ね、4年くらい前かなぁ。お父さん、事故で亡くなったんだよ」 「えっ?!」 え? クラスメイトたちと、聞こえていた私も、驚いて手が止まった。 「でも、今父親いるよな?梶原」 「再婚したんだよ。今は義理のお父さんにも連れ子がいて、兄と弟が出来たんだって。一時は泣いてたけど、今はお母さんが再婚してから、明るくなったと思うよ。立ち直って良かったよね。兄弟も増えたなら、楽しいのかも。親が突然死んじゃうとか、私ならやっぱり耐えられないもんね」 「そうだねぇ」 クラスメイトたちはみんなそう言って頷き合っていた。 私は、きゅっと唇を噛んでいた。 父親が突然事故で…なんて。そんな様子、全然分からなかった。あの笑顔の裏に、そんなことがあったなんて。本当は、…まだ少し辛いんじゃないのかな。
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