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上辺だけ見てても、わからないんだね。
馬鹿だな、私も…。
なのに、困ってた私をサラッと助けてくれて、私ったらお礼も言えてない。
翌日。
私は梶原さんを追って、校門まで走っていくと、
「梶原さん!」
とやっと声をかけた。あまり人前で大声を出したこともないけど、声をかけないと梶原さんはすぐいなくなっちゃうから。
ようやく梶原さんは立ち止まって振り向くと、驚いて私を見つめた。
「あ、渡部さん」
「あの…!こないだ、助けてくれて、ありがとう」
私は勇気を振り絞って言うと、梶原さんは驚いたように目を見開き、
「え?こないだ?」
と言って首を傾げた。
あ、覚えてなかった…?
私は深呼吸をして、カバンを前に持ってきて両手で掴んだ。
「教室でクラスメイトの男の子たちに誘われてた時、助けてくれた、でしょ?」
私が言うと、梶原さんは「えー?」と言いながら、
「あ、思い出した!はいはい!あれね。なんか、断るのも難しいよね。モテるのも、大変。羨ましいなぁ。あはは。渡部さん、同性から見ても綺麗だもんなぁ。でも困ってそうに見えたから迷惑かもしれないけど、勝手に助けちゃってごめんね」
と言って肩をすくめた。私は頭を横に振って、
「そ、そんなことないっ」
と言うと、梶原さんはなんだか嬉しそうに笑った。
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