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時々。帰りの時間。
梶原さんと一緒に帰っていると、視線を感じる時がある。嫌な感じではないけど、なんだろう。その視線は私を見ているのか、隣にいる梶原さんを見ているのか。
黒の少し大きめな車が、路肩に止まっている。運転席と助手席に男の人がいて、時々チラッと見ているような気がした。
変質者?
誰かのストーカー?
黒い車っていうのも、怪しい。
運転席には20代くらいの優しそうな男の人。
助手席に座る男の人は、やる気なさそうな、気怠そうな顔。無精髭?大きなあくびをしたり、窓を全開してタバコを吸っていたり。おじさんっぽいんだけど。タバコを吸う男の人をカッコいいと思ったのは、初めてだった。
「いやいや…。危ない人かもしれないし」
私は我に返ると、梶原さんは振り向いて、
「あ、帰り待ち合わせしてるから、そこまでね」
と言い出すと、私は微笑んで梶原さんを見た。
「お兄さんでしょ。義理の…って言ってた2つ上の」
私がそう言うと、梶原さんは照れたように頬を赤く染めて、
「やだ!あははっ。帰りに買い物しようってだけよ」
と言って私の肩を叩いている。
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