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「あれ?抹茶味の、食べたかった?」
「そうね。それ、いつもの抹茶より、濃いの。まだ食べてないんだけど……一口頂戴」
「いいよ」
滋は自分のスプーンで抹茶アイスを一口掬うと、私の口の中に入れてくれた。
「あ、美味しい!」
抹茶アイスを味わっていると、滋はクスクスと笑っていると、私は気がついて、
「え?なに?」
と訊ねると、滋は自分のスプーンを指差した。
「これ、間接キスだぜ?いいの?」
滋がそう言うと、ふと、私は昔の何かの記憶の映像が脳裏に浮かんだ。
あれ?
だれだろ。
間接キスだよって言って笑った男の人がいたような。
だれだろう。
顔も、時も場所も覚えていない。
夢かな。
「雪子?どうした?」
「あ…。なんでもないわ。それより、梶原さんと話したいなら、教室に来ればいいわ。でも、頻繁にはやだよ。噂とか立つの、嫌い」
私は我に返って言うと、滋は嬉しそうに笑って頷いた。
「オッケー!やった!!」
滋が、梶原さんを好き?それはまた、面白い。でも、あの子は確か義理のお兄さんのことが…多分好きだと思う。お兄さんの話をするとき、少し興奮気味に話すし、自分のことのように嬉しそうに話している。滋はチャラいけど、ふざけて付き合うタイプではないし、もしかして付き合って振り向かせられるのかしら。
どうなるかは楽しみだわ。
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