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私はひとりで高校の校門を出ていくと、また、いつもの黒い車が止まっているのが見えた。運転席にはいつもの若い青年がいて、目を閉じて眠っているように見えた。助手席は、誰もいない。
今日は、ひとり？
私は歩きながら横目で車を見ていると、停めている車から100メートルもない距離のところにある自販機に、スーツを着ている男の人を見つけた。いつも車の中にいる姿しか見ていないけど。
シワだらけのスーツに、よれたワイシャツ。また無精髭が見える。頭も少しボサボサだ。若いのかおじさんなのか、全然分からない。毎回思うけど、怪しいのよね。誰か、訴えたのかな。先生とかに。
彼は自販機で缶コーヒーを買って、前に少し屈んで受け取り口に手を入れてコーヒーを取ると、そこで私と目が合ったような気がした。
うわっ！やば！目が合った？！
どっか、連れてかれる？！
一瞬緊張した。私は恐る恐る振り向いてみるけど、もうそこに彼の姿はなかった。
車に戻ったのかな。
え？見ちゃいけない人と目が合ったとか！
命、狙われちゃうとか！
大丈夫？私！
私はなぜか走ってその場から離れたけれど、ずっと緊張とドキドキが止まらなかった。
な、なに？これ。
怖いんだけど、同時に変な思いが込み上げそう。
あの人の目が、なんとなく印象に残っていた。
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