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「のどー。かわいたのー。あのね。イチゴミルク」
「は?」
お兄さんは立ち上がって自販機を見たけど、もちろんイチゴミルクなんてあるわけない。
「ここにはないな」
「えぇ?つかえないのね」
なんで、イチゴミルク置いてないのかな!今すぐ飲みたいのに。今すぐ飲みたいのに!
私はムカッとして思わず唇を尖らせると、俯いてキュッと唇を噛みスカートの裾を握りしめて、
「おうち、かえりたい」
と呟いた。家に帰ればイチゴミルクあるし。早く帰って、イチゴミルク飲んで絵本でも読みたい。
「まぁ、つまんねぇよな。こんなとこにいても。お前のパパとママはどこにいんの?」
「あのね。パーティー」
私はふてくされながら、パーティー会場を指さした。
「ああ。それでほっとかれてんのか。つまんねぇよなぁ」
「イチゴミルク」
「ないってば」
「ぶーーっ」
じゃ、そこにはなにがあるんだろ。牛乳?オレンジジュース?もうなんでもいいよ。飲めるなら。
「甘いのは、ココアなら、あるぞ」
「ここあ…?あまいの?」
「のんだことねぇの?」
「ない!…と、おもう。おいしいの?おにいちゃん、ここあ、のんだことあるの?どこで?なんで??」
私はお兄さんの足にしがみついて言うと、お兄さんは私をフワリと両手で抱き上げてくれて、
「おいしいぞ。夏は冷たいのもうまいし、冬はあったかーいココア、うまいんだ。甘いけどな。どこで飲んだかは覚えてないけど。飲んでみる?この俺がご馳走してあげよう!」
とお兄さんは微笑んで言った。
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