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「プハッ!」
プハッまでお兄さんが真似してやってくれて、嬉しくてたまらなかった。
「しかも、間接キスだぞ、お前」
「かんせつきす?アイス?」
「アイスにそんなものは、ない!お前がもう少し大人だったら、本当のキスしてやるんだけどなー」
「う?ほんとうのきす??うまいの?」
私が聞くと、お兄さんはニヤッと怪しい笑顔になって、私の頭を撫で撫でした。
「そうだな。ものすっごく、うまいよ」
お兄さんの言うことはよく分からなかったけど、「わかった!」と返事をすると、お兄さんはまた無邪気に笑ってくれた。
ねぇ、理。
こんな奇跡、本当にあるんだね。
まさか、こんな小さい頃に出会っていたなんて。せめて、この時の記憶が残っていたら良かったのに。3歳じゃ、確かに覚えてることは難しいよね。その代わり、あなたはきっと覚えてくれてるはず。
この日、私達は出会ったの。この時は、ただの偶然の出会い。
でも、数年後に、このタダの偶然が、奇跡と呼べるめぐり逢いに変わった。
あんな風に恋焦がれて。
胸が締め付けられて。
馬鹿なことを一緒にしたり、言ったり。
それでも、一生、ずっとあなたと生きていく。
次にあなたと出会うまで、まだまだ長い時間がかかってしまった。
その時、こんな些細な出会いなど、私もあなたも、すっかり忘れてるんだろう。
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