第1章 奇跡は思い出の中に…

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「プハッ!」 プハッまでお兄さんが真似してやってくれて、嬉しくてたまらなかった。 「しかも、間接キスだぞ、お前」 「かんせつきす?アイス?」 「アイスにそんなものは、ない!お前がもう少し大人だったら、本当のキスしてやるんだけどなー」 「う?ほんとうのきす??うまいの?」 私が聞くと、お兄さんはニヤッと怪しい笑顔になって、私の頭を撫で撫でした。 「そうだな。ものすっごく、うまいよ」 お兄さんの言うことはよく分からなかったけど、「わかった!」と返事をすると、お兄さんはまた無邪気に笑ってくれた。 ねぇ、(おさむ)。 こんな奇跡、本当にあるんだね。 まさか、こんな小さい頃に出会っていたなんて。せめて、この時の記憶が残っていたら良かったのに。3歳じゃ、確かに覚えてることは難しいよね。その代わり、あなたはきっと覚えてくれてるはず。 この日、私達は出会ったの。この時は、ただの偶然の出会い。 でも、数年後に、このタダの偶然が、奇跡と呼べるめぐり逢いに変わった。 あんな風に恋焦がれて。 胸が締め付けられて。 馬鹿なことを一緒にしたり、言ったり。 それでも、一生、ずっとあなたと生きていく。 次にあなたと出会うまで、まだまだ長い時間がかかってしまった。 その時、こんな些細な出会いなど、私もあなたも、すっかり忘れてるんだろう。
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