5.風呂場でイチャイチャしつつ、夕飯と家事はいつも通りに

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5.風呂場でイチャイチャしつつ、夕飯と家事はいつも通りに

 宣言通りめちゃくちゃにキスされた俺は腰砕けになって、フラフラ。  まだ手を伸ばしてくる海を押し退けて、風呂場に直行した。    喧嘩では無傷だけど走り回ったりして汗掻いたから、服を適当に脱ぎ捨ててシャワーの飛沫を浴びる。  そのまま髪と体を洗って、もう一回熱い湯でさっぱりしようかなって上機嫌だった、けど。 「あっ……ぐっ、やっ……ばか、やめっ……!」  風呂場外からの侵入者に関しては、完全にノーマークだった。  全裸になって乱入してきた海が俺を背後から拘束して、股間に手を伸ばしてくる。そこでようやく貞操の危機を察知した。  デカイ図体の癖にこういう気配殺す事とかばっか、上手くなりやがって鮫男め……。 「やっ……あぁっ、んっ、くぅっ……!」  タイルの上に胡坐を掻いた海に腕を引っ張られたせいで、背後に向かって倒れそうになる。  俺の背中を胸でしっかり受け止めてくれたから痛くは無いけど、尻が着地した場所が勃起した海のブツの近くで別の意味で危険。  やばい場所に座った俺は慌てて立ち上がろうとする。でもそれより先に、海は掌で容赦無く俺の腹を押してくる。  そんな事されると、自然に背中を海の胸板に押し付けるような形になるわけで。    俺の首筋に軽く歯を立てながら、海の手は腹から徐々に下へ移動していく。  海のブツと比べるって行為は、本当は惨めになるからしたくないけど。……勃起してもしなくても倍近く大きさが違う、俺のジュニア君。  悲しい事に俺のジュニアは、さっき襲われた時点でフル勃起してた。海の大きな手は俺のものを難なくすっぽりと包み込み、ゆるゆると上下に扱きあげた。   「あっ、……このっ! まだ昼間だろうが……っ! くっ……ああっ!」 「昼だろうが、夜だろうがヤりてぇ時はヤりてぇに決まってんだろ」  海とこういう事を始めたのは、確か去年。たった1年とちょっとで、海の手は何処をどう擦ったら俺が気持ち良くなっちゃうかをよく分かっている。  ゆっくりだった海の手の動きが速くなると、もう駄目。抵抗も出来ずに俺は海の膝の上で、ただただされるがまま。  本当に海の手コキめっちゃ気持ち良いから……俺、悪くないってば。    一応、歯を食いしばって喘ぎ声はなるべく抑えてるけど、海が頬とか耳とかベロンベロン舐めてくるせいで、それもちょっと難しい。  尻に当たる海のブツは体が動く度に、俺が尻コキする羽目になってる。海も確信犯で腰振ってくるし、アホみたいに熱いソレを嫌って程感じてしまう。尻で。 「……あっ、ふっ……、んんっ……!」 「ちっ、おい更紗、俺もイく」 「はあ!? お、おい海っ……あ、ああっ!」  気持ちいいし暫く互いに抜いてなかったし、海に好き勝手やらせてたけど、調子乗った。  もう少しで気持ち良くイケる、ってところで海が不穏な動き。腰を両脇から掴まれて軽く持ち上げられて、下ろされる。太ももが熱いと思って、視線を下に向けると……俺の股の間に立ちあがった海のブツ。    絶頂しそうでビクビクしてる俺のそれと、海のでかいやつがぴっとりとくっついた。  俺の腰から性器に素早く移動した海の大きな掌が、二人分のモノを纏めて擦ってくる。   「あっ、あつっ……、あ、ぅっ……海、海……っ!」 「更紗っ……更紗……! く……っ!」  互いに名前を呼んで体を密着させながら、ほぼ同時くらいにイった。  背中に当たってる胸板からいつもより早い鼓動が聞こえて、海も興奮してるって思うと嬉しくなる。    あー……、この頭が真っ白っていうかボーッとする感じが堪んない……。  最後の一滴まで絞り出そうとして竿の部分押されるやつ、腰がビクビクって何度も跳ねるくらい超気持ちいい。   「はぁ……っ、あぁっあっ……海……」 「はっ……はぁっ、更紗……んっ」    昼から風呂場に籠って、相互オナニーとか不健全にも程がある。だけど俺と海は恋人で、ムラムラしちゃうお年頃ってやつで。  また持ち上げられて方向転換、向かい合う形になったから思わず海の首に手を伸ばす。互いに飽きないのがびっくりするけど、また密着しながら自然と唇が触れた。    俺の腰を妖しい手の動きで、海が弄る。  舌を絡ませながら、もう1ラウンドに持ち込まれる事を覚悟する。でも嫌じゃないから、目を閉じて海に体を預けた。     ―――――      風呂場で散々海に弄ばれて体力を消耗した俺は氷枕と一緒にリビングのソファーを占領して、ぐでんと寝そべっている。  海は全然疲れた様子もなく。……寧ろ性欲発散できてスッキリしたみたいで、傍目から見て分かるくらいにはご機嫌のご様子。  こんにゃろうめ。 「おーのーれー……。お前のせいで、もう俺動けそうにないんだけど」 「そのまま仮眠でもしちまえ、夕飯の準備は俺がやる」 「洗濯物……」 「取り込むだけはやったから、畳むくらいはしろ」 「えー……」  俺の恨めしげな声にも淡々と受け答えして、海は冷蔵庫の前とシンクを忙しなく往復しながら手際よく夕飯の準備を進める。  それからどうでも良いような会話をしてたけど、いつの間にか俺は寝たらしい。  暫くしてから海に頭を軽く叩かれて、無理矢理起こされた。少しの間、ぼーっとして、それから覚醒しない頭で洗濯を畳んで、海の作った夕飯の匂いで腹が鳴った。  俺の入学祝い、って事でいつもより少しだけ豪華な食卓。  家に帰ってきた親父、金井覧司(かねいらんじ)も一緒になって夕飯の仕上げをしてから、三人揃って手を合わせる。 「いただきまっす」 「……いただきます」 「いただきます、二人とも準備ありがとう」  身長も見た目もほぼほぼ息子と一緒の親父は、俺が絶対しそうにない優しげな表情をした。  何がそんなに楽しいのか、隣同士に座った俺と海を微笑ましそうに見てくる。育ち盛り食べ盛りの俺と海は、黙って白飯を腹の中に次々と入れてく。 「これで、二人とも高校生なんだね……早いなぁ。つい最近まであんなに小さかったのに。ふふ、紗綾もきっとびっくりしてるだろうね」    嬉しそうだけど、少し寂しそうに笑う親父。  俺と海が座っている向かい側には親父の座ってる席と、もう一つ空席。  誰も座っていない椅子の前、其処には飯の代わりにいつも写真立てが置いてある。    男の俺から見てもよく手入れがしてある、綺麗なロングの黒髪と桜色のカチューシャ。  小さな顔に大きくて真ん丸な目をした童顔美少女。いつまでも変わらない写真に写っている人物は俺の母さん、金井紗綾(かねいさあや)。  俺がまだ小さい頃に病気で亡くなったから、俺の成長はこの写真の中の母さんに逐一見せるようにしていた。  今日も可愛い母さんにひらひらと手を振る。母さん、俺高校生になったよ。背は伸びてないけど、大きくなったよ。と意味を込めて。   「これで俺も親父も、やーっと義務教育とめんどい学校行事から解放されたってわけだ。超めでたい」 「……内面や態度も、もう少し成長してくれると嬉しいんだけどなぁ……」 「昔に比べたらかなり大人になったと思うけど?」 「……覧司さん、こいつ今日早速高校で面倒事起こした」 「ああー……やっぱり。そういう所だよ、更紗。もうちょっと海を見習って…………。……うん、見習わなくて良いよ。二人ともどっちもどっちだからね、考えてみれば」 「息子とその旦那候補の成長を喜ぶか、貶すかどっちかにしてくんない」    母さんは居ないけど、金井家の食卓は出来るだけ俺と親父と海の3人で囲むようにしてる。  そのお陰で昔から寂しくはないし、今のご時世こんなに毎日家族揃って飯食うのは珍しいはずだけど鬱陶しいと思った事も無い。  で、当たり前のように居座っている海は、元々俺の幼馴染でご近所さん。      海は親父の親友、鮫川遥(さめかわはるか)さんの息子で三男。我が家のご近所にある和食レストラン『鮫の弦』は、鮫川一家が経営してる。鮫川四兄弟って言えば、この辺では超有名な美形兄弟。    奥さんの夏美(なつみ)さん、長男の大地(だいち)さん、次男の空(そら)さん、末っ子紅一点の華(はな)ちゃん。  ご夫婦と4人全員揃って、目が眩むようなイケメン美人。    家族の人数が増えれば、出てくる部屋問題。鮫川家も止むをえず、兄弟相部屋。正直な話、年期が入った由緒正しき日本家屋にお住まいだった。  対して俺は、一人っ子。金井家の方は俺が生まれた後、新しく建てた家。  俺と年齢が近かった海は部屋が有り余ってて真新しい家と、俺と親父の事がちっちゃい頃からとにかくお気に入り。  かといって海とご家族の仲は悪くないし、海も鮫川の家業を嫌がらず積極的にお手伝いした。    それでも、いつの間にか俺の家には海の歯ブラシや着替えが増えていった。それに加えてちゃっかり泊まっていったり、平然と風呂に入っていたり。  海は徐々に俺と親父、二人きりの生活に溶け込んだ。恐ろしい事にこの溶け込みを小学校低学年から、違和感も無く当たり前のように海は実施済み。どれだけ金井家の事が好きなのか。    でも、やっぱり俺と親父だけの生活ってのは、無意識に何処か気を張ってた部分もあった。  海が居たから上手く親父との距離とか、取れていた気もする。  金井家にそこそこ入り浸っていた海は、ついに中学に上がる直前に俺の親父へ直談判。結果、ほだされた親父が遥さん達と相談して橋渡しをした。  鮫川の家業をしっかり手伝い、家族行事には必ず参加することを条件に我が家にめでたく居候することが決定する。  喧嘩とかは勿論あったけど、仲が良かった俺と海。息子とご近所の子供を纏めて面倒を見る事に慣れていた親父。海の居候で特別変わった事は殆ど無かった。  あいつの計算高さと、他人の家庭に馴染むスキルの高さが今更ながら本当に怖い。  そんなわけで海はそれなりに色々と条件を付けられながら、俺の家で平然と飯を食っている。  
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