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あのジャケットは警察に押収されてしまったため、美鈴の手元には残らなかった。男の指紋があるだろうからと鑑識と刑事に持って行かれたが、その時ひっぱって取り返したい気持ちに駆られた。私の身体を労ってかけてくれた彼の優しさだから、それは私のもの。しかしそれを言うこともできなかった。
指紋を採取され、彼はもう犯罪者として、よくある警察のデータベースに登録されてしまったのだろうか。かえって、あのジャケットのせいで彼の立場を悪くしてしまった気がしていた。
取り返せば良かった……。必死に。でもそうすると、美鈴も彼の仲間として疑われたのだろうか? あの時は警察のいいなりになってしまい何もできなかった。
警察の取り調べも厳しいものがあった。本当にあのヤクザたちと無関係だったのか、それを証明するために家宅捜索をしたいと最初は言われていた。いちばん怒ったのは義妹の莉子だった。私の家を荒らすのかと憤慨していた。
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