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「このまま、お願い」
彼が溜め息をついている。寅にキスをする美鈴の頭を肩先に掻き抱いく。
「……そう、いわれると、ほんとうにそうしてしまう」
どれだけ強いの? あなたの寅は。私の中に来て。
タケルの目にそう呟いていた。男にこんなに求めたことはない。別れてしまったあの人にさえ。自信のなかったはずの自分がこんなに熱く男をねだれるだなんて知らなかった。
「タケルさんが寅を背負った人でも、私、タケルという男の人に惹かれたの」
その瞬間、タケルの目が燃えたのを美鈴は見る。
彼の逞しい腕が、美鈴の足を開いた。
男に翻弄される女を眺めている彼の目が怖い。すごく怖い顔している。でもいままで怯えていた怖さじゃない。美鈴を捉えて、狙って、襲う瞬間を見定めている真剣な目だと思った。
この人、自分はこれをやると決めた時、きっとこんな顔になるんだ。初めてそう思った。
彼が拳銃を構えた時のあの目、極限に迫る鋭利な目。そんな男に射ぬかれた気持ちになってくる。雄々しいこの人に撃ち落とされてもいい。そう高められていく。
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