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先のことなんてわからない。でも……。
きっと彼も同じ事感じていると思う。でも……。
恋だけ、愛は……? そこまで思いつかない。
それでも、私とあなたはいま、何にも囚われないで愛しあっている。彼が店に来て美鈴が店にいてお互いに気になっていた、でも、距離を取っていたこと、どことなくわかっていながらも。もうこんなに素肌が触れるまでに近づいてしまった。
欲しくて欲しくて触れた恋は、こんなに熱くて甘くて、そしてどこか切ない。潮の匂いと港の青い色――。
男の最後のひと押しが美鈴の中に注がれる。肩の寅が美鈴を見ている。
「……、寅、寅がわたしを……見て……る」
「美鈴さん、俺、俺のほうを見て」
寅の模様ばかり見ていたからなのか、覆い被さってきた彼が美鈴にそう言って熱くて濃厚なキスをした。
なんの隔てもない交わりの最後……。男の匂いと潮の匂いが混じっていた。
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