2 解けないベクトルきみとの距離

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「おーい! 東雲ちゃん! 美幸!」  ハルくんとこーちゃんがやって来た。元気良く手を振るハルくんの顔を見た途端、心臓が飛び上がったような感じがした。かなり重症なのかもしれない。 「よし、行こうぜ!」  四人で連れ立って歩き出す。  ドキドキを通り越してなんだかバクバクしてきて、頭がハルくんで一杯になって、ハルくんばかりが視界に入って、周りのざわめきや人混みの様子なんて聞こえないし見えなかった。そっと彼に寄り添うようにして、わたしは歩を進めた。           ○  小さい頃から三人いつも一緒だった。そこにいるのが当たり前で、特に意識したことなんてない。ハルくんもこーちゃんも、どっちも大好きなはずなんだけれどよく分からなくなってしまった。ハルくんへの大好きは、こーちゃんへの大好きとは違うのかな。  もう! 自分のことなのに分からないよう!  毎日楽しいのに、わたしの人生どうなるのー!
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