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【序 独り言】
古よりその土地に住む者達がいる。
変わりゆく周囲を見つめ続けた者達がいる。
幾星霜を経て、彼らは何を思うのか。
空に咲く花火のように。葉の上に光る朝露のように。美しくも儚く散り行く者を何度も見送った。
まだ行かないでくれと、何度も手を伸ばした。
目まぐるしく巡る時の中で、それはひときわ輝いていた光だった。
見失った光を追い続けて、その先に何を見るのだろう。
あぁ、私は、まだこの光に浸っていたい。どうかどうかゆっくりと。この日々が、ゆっくりと過ぎて行きますように……。
眩しい夏の日差しに、私は目を細める。
これは誰かが見た景色。
星の巡る街が歌う長い歌の、ほんの一節。
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