参 休業日

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 公園のベンチに戻り後方を覗き込むと、紫苑が横になって眠っていた。俺に気が付いたのか軽く身じろぎをしたが、起きる気配はない。冷却シートを額に貼り付けてやっても、その冷たさに反応することはなかった。けれど、少しだけ表情が和らいだように感じる。  今回こいつが倒れてしまった原因は俺にもある。俺が、もっと早く不調に気が付いていればよかったのだ。俺のサポートをすることは自分の仕事だからと言って飛び回っているのを、ただただありがたいなと思って見上げていた。本当は、俺も紫苑のことをサポートしてやるべきだったのかもしれない。自分の考えを纏められなくて悶々としているだけで、一緒にいてくれている神様のことを考えていなかった。頑張れ頑張れと言ってくれるのを受け取るだけで、紫苑の応援なんてしていなかった。  分かっていたはずなのに。まだ力が安定していないことを。不安定な力を酷使しているのを、知っていたはずなのに。 「おまえばっかり謝るな。俺も……悪かった……」  芝生に落ちてしまっていたタオルを拾い、土を払う。目を覚ましたら、ちゃんと話をしよう。
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