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「…は?いやそんなわけねぇだろ」
そこそこ体格があるカスールをこの小さな女が運べたとは考えにくい。
「俺を運んでくれた奴は?」
「だから其れが私よ。貴方を運ぶのは骨が折れたわ」
女は呆れて溜め息をつく。
カスールは尚も怪訝そうに女を見る。
「……」
(本当かよ…)
にわかには信じられない。
(いや、今はその事より…)
「なぁ、俺、怪我してたよな…?」
「ええ、酷い怪我だったわよ」
「その怪我がないんだが…」
何か知らないかと目で訴える。
「…契約の力よ」
「契約…?何だよ、それ…」
「全ての理を超越する約束事。それが契約。死にかけた貴方を助けるには其しかなかったから」
契約により助かった。
その事はカスールにも辛うじて理解できた。
(…よくわかんねぇが、人の出来る芸当じゃない…)
「お前…まさか…」
「…今頃気がついたの?」
女は不敵に笑った。
見下され、カスールは頭に血が上る。。
「魔女…!何が目的で…!」
力を振り絞って上半身を起こす。
そして手近に何か無いかと探す。
女は再び溜め息をついていた。
「いいから…休みなさい!」
「っ!?な、何だ…全身に痛みが…いってぇ!」
「早く身体をベッドに預けなさい。そうすれば痛みも無くなるわ」
「ちっ…」
仕方なく言う通りにする。
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