第一章、奇跡の魔女と傭兵

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「…は?いやそんなわけねぇだろ」 そこそこ体格があるカスールをこの小さな女が運べたとは考えにくい。 「俺を運んでくれた奴は?」 「だから其れが私よ。貴方を運ぶのは骨が折れたわ」 女は呆れて溜め息をつく。 カスールは尚も怪訝そうに女を見る。 「……」 (本当かよ…) にわかには信じられない。 (いや、今はその事より…) 「なぁ、俺、怪我してたよな…?」 「ええ、酷い怪我だったわよ」 「その怪我がないんだが…」 何か知らないかと目で訴える。 「…契約の力よ」 「契約…?何だよ、それ…」 「全ての理を超越する約束事。それが契約。死にかけた貴方を助けるには其しかなかったから」 契約により助かった。 その事はカスールにも辛うじて理解できた。 (…よくわかんねぇが、人の出来る芸当じゃない…) 「お前…まさか…」 「…今頃気がついたの?」 女は不敵に笑った。 見下され、カスールは頭に血が上る。。 「魔女…!何が目的で…!」 力を振り絞って上半身を起こす。 そして手近に何か無いかと探す。 女は再び溜め息をついていた。 「いいから…休みなさい!」 「っ!?な、何だ…全身に痛みが…いってぇ!」 「早く身体をベッドに預けなさい。そうすれば痛みも無くなるわ」 「ちっ…」 仕方なく言う通りにする。
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