12人が本棚に入れています
本棚に追加
軽い足取りでハルは部屋を出ていく。
「…貴方の妹さんは賢い子ね。貴方と違って」
「どうせ俺は賢くねぇよ!」
やけ食いとばかりにおかゆに口を付ける。
「あちっ…!」
しかし熱くてなかなか思うように食べられない。
「…ねぇ、一つ聞いてもいい?」
「…何だよ…」
「貴方は何故あの場所に居たの?」
真剣な表情で尋ねてくる。
カスールはしっかりとおかゆを飲み込んだ。
「何故って…魔物を倒す依頼を受けたからだよ」
「依頼…?」
「ああ、結構報酬金が良くて。上手く出来たら暫く食い物には困らないと踏んだんだけどな」
結果は現状の通りだ。
「はぁ…どうすっかな…お袋には絶対大丈夫とか言っておいてこの様…」
「そうねぇ…良く帰って来られたものだわねぇ…」
噂をしたからか。
「お、おおっ…お袋!」
中年の女が姿を見せた。
「全く…あんたって子は…」
つかつかとベッドまで歩み寄るとカスールの頭を軽く叩く。
「いてっ…」
「…何時になったら、私に心配をさせないようになるのよ…」
「お袋…」
涙を拭う仕草に胸が痛んだ。
(情けねぇな…)
見られないよう布団の中で拳を作った。
「…貴方が、ミオゼさんね?」
「はい」
「ハルから話を聞いています。息子を助けて下ってありがとう」
最初のコメントを投稿しよう!