2話 「決意」

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2話 「決意」

 起きたらそこは私の部屋だった。 「ヴェール、これからは社交界は全て欠席しましょう。あなたへの求婚が殺到してしまうわ。でも、どうして倒れたのか教えてくれる?」 「お母様、怖かったの、周りの視線が。もう行きたくない、どこにも。誰とも関わりたくない。誰とも会いたくない。怖い………怖い……怖い…怖い…怖い怖い!」 「ごめんね、お母さんがあの時助けてれば。いいのよ、どこにも行かなくて。もう、大丈夫だから。」 お母様は涙ぐみながら言っていた。それからは私は外に出なかった。食事もまともに食べれず、運動で外に行くのは怖かった。侍女のメリットは、私が歩くたびに弱った筋肉を支えてくれた。もう、一生外に出ることはないのだと思っていた。でも、候爵家令嬢としてそんなことは許されない。私は2年かけて外に出る練習をした。  2年後、私は魔法学院に行く事になった。もちろん、メリットがすぐ傍にいないと倒れてしまうので学院からメリットが隣にいることを特別に許可を得た。 「お嬢様、これを被りましょう。」 「メリット、手を繋いでくれない?」 「はい。」 私はメリットがいないとダメな人間になってしまった。学院の自分のクラスに入る。 「あら、ごきげんよう。引きこもり令嬢さん。」 ベルベラ様だった。あの時の記憶が呼び起こされる。 「ごめんなさい!ごめんなさい!!殺さないで!憎い私を見ないで!」  頭の中がかき乱されるように痛い。 「お嬢様っ!」 目の前が一瞬で暗くなった。バタンッ!私はあの時と同じく倒れてしまった。  私はこの髪のせいでモブになれない。ならばそれを超えるモブになればいいことだ。それに私よりも美しい人や人気の人がいればいい。私は陰キャになって「容姿はいいが性格はオドオドしてダメ。」という設定をつくる。絶対にモブになる!そう決意した。  
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