【 第三話: お兄ちゃんの彼女? 】

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【 第三話: お兄ちゃんの彼女? 】

 そして、私とお兄ちゃんは、今日の夜の合コン会場へ向かった。  私たちが合コンの場所に着くと、お兄ちゃんの先輩らしき人がこう声をかけて来た。 「おお~、龍之介、来てくれたか。あれっ? お前、本当に彼女いたの?」 「はい、先輩。みんなにも紹介します。俺の彼女、若菜と言います」 「わ、若菜です。今日はよろしくお願いします……」 「若菜ちゃんか、今日はよろしくね。じゃあ、二人とも席に座って」  私は、すごく緊張していた。  大学生の人たちに囲まれて、中学生の私が同じ席に座っているのである。  そんな状況の中で、中学生の私が、緊張しない訳がない……。  ましてや、合コンなんて、当然初めての経験で、私は胸のドキドキが止められないでいた。  そこへ、その先輩の目当ての女性たちがやって来た。 「ああ~、久しぶり~。いらっしゃい! どうぞどうぞ、あっちの席に座って」 「えっ? 一人、新しい女の子がいるけど……」 「ああ、その子、龍之介の彼女、若菜ちゃん」 「えっ? 彼女? 龍之介くんって、本当に彼女いたの? それに、かなり年下好み?」 「あ、いいや……。若菜は同い年だよ……」 「ええーっ!? 18歳なの? 全然見えない。もっとずっと年下に見えるけど」 「わ、私、18歳です……。お兄……、いえ、『龍ぴょん(・・・・)』の彼女です……」 「『龍ぴょん』? くすっ。そうなの、よろしくね」  私は、大人びた色気のある綺麗な女性たちに、圧倒されていた。  容姿だって、服装だって、言葉使いだって、とても敵わないと思った。  でも、今日はお兄ちゃんの彼女として、頑張らないと、と思っていた。  しかし、緊張の余り、私はいきなりトイレに行きたくなってしまった。 「お兄……、あっ、『龍ぴょん』。私、ちょっとトイレに行ってくる……」 「ああ、分かった」
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