ハロウィーンの夜に

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引っ張るようにしてホテルまで行く。 今まで何度か来たことがあるため、慣れた手つきで部屋を選び、中へ入る。その間、私達は無言だった。 そして、背後で彼がドアを閉めた瞬間。 振り返った私は彼のシャツの胸元を引っ張り、キスを強請る。 しかしあと少しで唇が触れそうなところで、彼はふっと顔を背けた。 「ごめん、キスは無理」 既に見知ったばかりの女とホテルに来てしまっているのに、それで彼女に操を立てているつもりか。 まあ、別にいい。 私が欲しいのはキスじゃない。 私を慰め、求めてくれる存在が欲しいのだ。
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