除霊師・日高麗奈と助手

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除霊師・日高麗奈と助手

「それで私に?」 「はい。実績もあって信用が出来ると聞いております」  私は、札幌で除霊師をしている日高麗奈。まだ30才の「お姉さん」だ。大事なことなので二回言うけどお姉さんなのだ。教職の経験は無いけど、見た目は学校の先生みたいってよく言われている。  目の前にいるのはTR北海道、当別駅の駅長さん。私は事故物件でもなんでも受けるけど、最近鉄道絡みの案件が多い。それと言うのも…… 「お茶が入りました」 「ありがとう。カナ」 「ありがとうございます」  今お茶を持って来たのは、私の助手をしているカナって女の子、女子高生風の外見なんだけど、実は付喪神(つくもがみ)。こういう存在は普通、人間には見えないものなんだけど、この子は土地神様に気に入られたらしく、神様になるために修行中なので、普通の人間にも見えるの。 「可愛い助手の方ですね」 「あら、ありがとうございます」  愛想笑いもさまになって来たみたい。この娘は元々日高本線を走っていたディーゼルカー(キハ130系)に宿っていて、幽霊のふりをして苫小牧駅に夜な夜な現れたのを成仏……? っていうのか、とにかく上の世界に上げたんだけど、地域神が彼女を気にいって、それで神様に昇格するための修行をすることになったんだけど、その縁で私の助手ってになったわけ。  それからと言うもの、うちには鉄道会社の人がよく来るようになったわ。  彼から幽霊の話をひととおり聞いた私は、除霊の話を受けることを伝えると、初老の彼はとても喜んでくれたの。 「ありがとうございます。この路線に幽霊は相応しく無いですからな。まったく、嫌なものです」  そう言って彼は帰って行ったわ。まあ、どんな路線でも幽霊なんて嫌だろうけどね。  2人になった事務所で、カナとの打ち合わせが始まった。
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