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67.
もう遠い昔、まだ私達が夫婦だった頃によく通った店で
話を聞くことになった。
「あれから13年も経ってるなんて、なんか君を実際目の前に
すると、信じられないっていうか。
でも真樹夫を見てたら
紛れもなく時は過ぎてたんだなって思うけど」
「そうね、振り返ってみれば時の経つのは早いものね」
「もう噂で知ってると思うけど、俺5年前に景子とは
別れたんだ」
「あんなに好きで一緒になったのに・・何が原因だったの?
また他に好きな人(女)でもできた?
それとも彼女のほうが? 」
「俺さ、彼女に騙されてたんだ。
元々不妊だったのに、俺にそのことずっと長い間秘密にしてた」
「でもあなた、子供なんて好きじゃなかったんだから、そこ
問題にならないんじゃないの? 」
「・・・。
自分でも判らないんだけど年を重ねていくうちに
気付いたら子供が欲しくなってた」
「そんなことってあるのね。
へぇ~、ならそれはきつかったかも」
返事をしながら、早く家に帰りたいなぁ~って思った。
私はもう子供を産む気もないし、年齢的にも無理だし・・
今から子供産んでくれそうな女性を見つけたらいいだけ
なんだしね。
私には関係ないよねぇ~なんて考えていたら・・。
「虫のいい話だとは思うけど、真樹夫と3人、俺達
やり直せないかな? 」
うんっ、今あなたおっしゃいましたね、無理無理・・
虫が良すぎますってばぁ。
「え~と、何て言ったらいいのか・・。
私再婚してるの」
「えっ?
だって君旧姓のままだっただろ? 確か・・」
「まぁ、仕事の場ではね。
だけど私も真樹夫も今の性は三浦なの。
三浦くんとの間に女の子もひとりいるしね」
「もしかして、あの三浦?
先日女の子連れてたけど、あの子? 」
「えぇ、そう。
あのふたりが私達の新しい家族」
「いつから?
いつから三浦とそんな仲に? 」
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