A true blessing 天からの贈り者「六田亜矢子女医 29才が見た白昼夢」の続き、後半34-2からになります。

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57.  一度も俺に会いに来なかった・・ 会いに来てはくれなかった父さん。  1度だってそんなヤツのこと、父さんだなんて 思ったことない。    母さんはあの男(父親)のことを悪く言ったことはないけれど 俺はじいちゃんから聞いていろいろ知ってるんだ。  おじいちゃん、あの男のやり口は外道にも劣るってすんごい 怒ってたからなぁ~。  難しくてほんとはわかんないけどじいちゃんが 怒ってるからよくないことだよな、きっと。  「恩に着せたくはないけど・・ さんざん金銭でも気持ちでも、あいつに尽くしてきた娘に あんな仕打ちができるあの男は人間じゃないさ。  人の皮を被った獣だよ。  四の五の言わず潔く身を引いた亜矢子のことをあの男は 気にも留めておらんだろうが、私は毅然としてて我が娘ながら りっぱな人間だと思ってるよ。  お前の実の父親のことを酷く言うのは憚られるけど、真樹夫 本当のことを知っておいてほしいんだよ」  そう言って悔し気にじいちゃんは俺に話してくれた。  「あの男に亜矢子はもったいないさ。  別れて正解だったンだ。  お前は母さんを大切にしてやれ。  母さんはか弱い女なんだからね。  ポキっと折れそうになった時には真樹夫頼むぞ。  男は女を守れてナンボだぞ、忘れるな。  ばあさんも亜矢子もそしてこれからお前の伴侶になる嫁さんも 守れる男になれ・・いいな」  「うん、じいちゃん分かった。  守れる男になれるようガムバル。  じいちゃんみたいな男になる」  「泣かせるんじゃない」  じいちゃんはそう言って俺の頭をちょんちょんと撫でてくれた。  愛情深いおじいちゃんに触ってもらって、俺は幸せな気持ちに なった。  俺のじいちゃんがこの人でよかったと思った。
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