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61.
母さんが言った。
「真樹夫の実のお父さんのこと恨んでる? 」
「う~ん、どうだろう。
恨んで・・ない、たぶん。
だって俺にはいつもにぃにぃ(三浦)がいたからなぁ~。
流石に父親だとは思ってなかったけど幼心にも大人の男の人
だったから頼りにしてたんだろうね。
ほんとの父親になってくれた時はすんごくうれしかったの
覚えてるよ。
ずっとにぃにぃみたいな父親が欲しいと思ってたから。
にぃにぃが俺の側にいてくれるようになってからずっと
神様にお願いしてたもんね。
僕ににぃにぃを下さいって。(笑)
他所の子のモンにはならないでって」
母さんに今まで話してなかった今の父親に対する気持ちを
俺はこの時、初めて話したのだった。
「三浦くんは昔も今も私達の癒しだね」
って母さんが言った。
「ン・・ぅん」(恥:)
・・・
帰国してまずしたことは、真樹夫に会うことだった。
ずっと夢見てきた・・息子に、俺の息子に会えるンだと
思うと俺の心は歓喜で打ち震えた。
真樹夫がファミレスがいいと言うのでカジュアルに
ファミレスで会うことになった。
しかし、迂闊だった。
俺は真樹夫の今の姿を知らないじゃないか。
それ相応の年頃の少年を探せば判る・・かと自分を
安心させたものの、その日その時に限ったことなのか
いつもそんな風なのか、そこには大勢の男女の若者が
座っていた。
そだ・・落ち着けぇ~
ひとりで座っている若者なんてそうそういまい。
店内を改めて見回した。
遠めにひとりガタイの良いなかなかの容姿端麗な少年が
視界に入り込んできた。
とりあえず、間違いがあってはいけない。
確認だけはしないと・・。
俺は歩を進めた。
俺が席に近付くとその彼は俺の方に顔を向けてきた。
「失礼だけれど君が真樹夫くん?」
「・・。はい、真樹夫です」
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