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62-2.
「あっ、これはお話中失礼しました」そう言い残して
義父親(三浦)は彩乃の座っている席へと戻って行った。
義父親(三浦)には実父に会うことを話してなかったので
真樹夫はかなり焦った。
一方三浦のほうは予め亜矢子からちゃんと話を聞かされて
いたので真樹夫と向かいの人物を見て大体のことは想像が
ついた。
この店に来たのはたまたまだったのだが、真樹夫が
男性と向かい会ってるのを見てピンときてしまった・・
ピンと・・きちゃったのだ。
様子見だけしていればよかったものを何故か真樹夫に
突然声かけしたくなってしまった。
なんでだぁ~?
はて・・。
真樹夫の実父親に対する対抗心なのか?
それともたんなる興味だったのか?
独占欲だったのか?
真樹夫に声をかけ、実の父親にも簡単にだが挨拶を
した。
考えていくうちに何となくおぼろげに自分の心の
内が見えてきたような気がしてきた。
俺は何も知らないアイツに、真樹夫の実の父親に
真樹夫の父親は俺なんだって無意識に言いたかったのかも
しれないなぁ。
お前より強く真樹夫を愛しているんだよぉ。
絶対そこは負けんっ・・って。
そんな気持ちがどこかにあって、あんな言動に
はしってしまったのかもなぁ。
まぁそんなやこんないろいろ考えを巡らせてみたものの
人間ってヤツは時々自分でも後からいくら考えても
理由を説明できない言動をとることが一生のうちに
一度や二度あるんじゃないかなぁ。
そんな風にも思えて・・だんだんグダグダになって
いきそうになり、俺は自分に言った。
もう忘れろ、彩乃の相手に集中しろ、と。
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