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あの日が返ってきたようで・・・。
「ごめんね~、調子はどう?あら?ポカリ買ってきてもらったの?もしかして、雨宮くん?」
医務室の先生が戻ってくると、凛空はペコリ、と先生に挨拶した。が、彼女は全く気がついていない。そうか、凛空は私にしか見えないんだ。
「いえ、少し良くなったので、自分で買ってきました。もう少し休んだら、戻ります」
「そう?無理しすぎないでね」
しばらくして、凛空と手を繋いで歩く。久々の感覚だ。幽霊なのに、あったかい。
「凛空、今度の土曜日、ドリームランド、行かない?花火もあるよ」
「受験生が、いいのか?それに、ひとりで遊園地なんて、変だと思われるぞ」
「ひとりじゃないもん。凛空と一緒」
「絵梨・・・」
つらそうな顔をする凛空。それでも、心を切り替えたように、
「大勢の前のときは、心で僕に語りかけて。変な人だと思われないように」
「了解、で~す。じゃあ、講義に戻るね。待っててくれるよね?」
(絵梨・・・僕は、ずっと待っていたんだよ)
「もちろん!」
講義室に入ると、雨宮くんが心配そうに話しかけてきた。
「もう大丈夫なのか?」
「うん、平気。医務室まで運んで行ってくれたんだって?ありがとう」
「いや・・・今度、具合悪いときは早めに言えよ!」
ぶっきらぼうだけど、決して悪い人じゃないんだよね、雨宮くん。
その様子を、微妙な表情で凛空が見つめていたのに私は気がつかなかった。
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