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(・・・凛空?どしたの?)
(いや・・・2年前の夏も絵梨とドリームランド行ったな、って思い出してた)
(・・・う~ん、苦い思い出、かな。一緒に行ったけど、途中で喧嘩して帰って、花火、見れなかったじゃない。次の日、すぐに仲直りしたけど・・・見たかったな、花火。去年は、あんなことになっちゃって、もう凛空いなかったし)
(見たかったな、花火)
(だから、行こうよ、ドリームランド。今年は、一緒に見れるよね?)
ズキンッ・・・また、胸が痛んだ。
(あ、ああ、もちろん。今週の土曜だよな?)
凛空の心残りはもしかしたら、ドリームランドの花火なのかな、と思った。なんとなくだけど。でも、そしたら、花火を見た瞬間、消えちゃうの?そんなの・・・嫌だ。でも、凛空は、死んだ人間だ。こうして、ここにいるのが不自然なんだよね。と思ったら、つーっと涙が頬を伝った。
(どうした?)
凛空が私を抱きしめる。こんなに、感覚もあるなんて、幽霊だなんて。凛空が死んだのがウソだったんじゃないかと思ったけど、凛空は私にしか見えない。そのことが事実を伝えている。
(ううん・・・もう、けんかは嫌だな、って)
(そうだな・・・)
と言った凛空は少し沈んで見えた。どうしたの、凛空?
(さぁ、そろそろ、絵梨は寝て。明日も予備校だろ?で、明後日、ドリームランドだ)
(うん。・・・凛空は?)
(添い寝したげる。)
ボッ、と赤くなった。凛空の温度を感じながら、眠れるのだろうか。
(おやすみ、絵梨)
頭をなでてくれる凛空。
(おやすみ、凛空)
気が付いたら、絵梨は眠りに落ちていた。
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