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ドリームランド前日の予備校
翌日、予備校で講義前。雨宮くんが私をにらんでいた。
「雨宮くん・・・なに?」
「そいつと、話がしたい」
・・・えっ?
「そいつと・・・神崎凛空と話がしたいんだ」
(絵梨・・・心配しないで。ちょっと行ってくる)
2人は、廊下の奥に歩いて行った。
「神崎・・・お願いだ、消えてくれ」
「消えようと思っても、消えられないんだ。僕は、地上に心残りがある」
「絵梨ちゃんか?・・・お前がそんなだから、彼女はいつまでもお前を忘れられずにいるんだ。彼女のそばを離れるのが一番・・・」
「分かってるよ。出来るなら、僕だってそうしたい。でも、明日まではどうしても一緒にいなくちゃいけないんだ。僕のためにも、彼女のためにも」
苦しげに凛空は言った。
「思い出に変えるために、だ。明日、ドリームランドの花火が終わるころ、あいつのそばに行ってやってくれ」
「・・・お前。そんなんで彼女がお前を忘れると思うのか?」
「分からない・・・けど、それが僕のできるすべてだ」
「・・・分かったよ」
絵梨のもとに2人が帰ってきた。
(なんでもないよ。心配するんじゃない)
(本当に?雨宮くん、なんて?)
(・・・)
凛空はぎゅっと絵梨を抱きすくめた。それ以上は聞けなかった。
(明日、ドリームランド、楽しもうな)
凛空が心に語り掛ける。
(うん・・・)
講義が始まった。心ここにあらず、で全く内容が入ってこない絵梨なのだった・・・。
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