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第2幕
オーナメントは優しく光り
夜が更け 喧騒 過ぎ去って
クララは一人 いつものベッド
胡桃を人形と食べながら
いつも 一人で眺めた絵本
今日は 二人で読み合って
クララ:「今日はとっても素敵な日。貴方と逢えた素敵な日。これからずっと私と一緒。
お友達になってちょうだいな。」
まん丸大きな青瞳
作り物でも その瞳
少女の無垢な 笑顔を声を
しっかりまっすぐ とらえてた。
ガシャン ガシャン 暗闇に響く
なんとも奇妙 怪奇な物音
小さなクララは 人形を抱えて
そっと小部屋を抜け出した。
なんとこれまた どうしたことか。
広間にゾロゾロ現る灰色。
とりわけ大きな大鼠 地響き低音恐ろし声で
鼠の王:「今宵は我らの侵略日。金目を根こそぎ奪い去れ。」
崩れる料理 乱れる贈物 削れた牙と高い鳴き声
幼いクララ なすすべもなく 隠れて泣いた そのときに
人形:「君は僕のお友達。初めてできたお友達。君を泣かせてなるものか。」
ヒュンと風切り 躍り出る 凛々しい声と 身軽な体
木彫りの口は クララに振り向き
優しく優しく微笑んだ
人形:「ここは僕にお任せを。僕の愛しい姫君。」
仲間の兵隊携えて 鼠の兵一網打尽
それは刹那の幻覚のごとく 過ぎ去り あとは元通り
人形 七色光に包まれ 容姿端麗な貴公子に
クララ:「貴方は一体誰でしょう。」
王子:「僕は夢の国の王子。貴女のおかげで呪いが解けた。
さぁご案内いたしましょう。僕の愛しい姫君。」
夢見心地に手を取れば クララは王女に早変わり。
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