第4幕

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第4幕

丁度そのとき  そんな時 広間の照明崩れ落ち 皆が驚き退散すると ヨロヨロ傷だらけ  大鼠 実に恨めし汚れた姿で 王子を睨んで言い放つ。 大鼠:「よくも手下を殺してくれた。その小娘  もろともに     お前を倒してくれようぞ!!!」 逃げようとしても誠に不思議 体は石像のごとく固く 逃げられないまま瞼が閉じる クララは意識を手放した。 目覚めたクララはベッドの上 見慣れた景色が広がって 胸に抱いた  木彫人形 クララ:「あれはもしや  夢だったの?最後まで幸せで居たかった。」 喪失の中  ゆっくりと 身を起こそうとした瞬間 四方八方  不気味な匂いと 真っ赤な目をした獣が顔覗かせた 声が出せない。動けない。 硬直するクララを嘲笑うように 獣たちは口々に叫ぶ。 鼠:「まぁ  起きたんだね。クララちゃん」「怖いはずさ。そのはずさ。」  「さぁおいで。キミが好きなパイと紅茶をご馳走しよう。」 クララ:「・・・いや・・・いやよっ・・・何なのよ!!!私をどこへ連れて行くの!?」 鼠:「怖がるのは無理ないさ。だけどこれが運命なんだ。」 抵抗できない大きな体  恐怖の笑みがクララに向かう。 クララ:「助けて!助けて!あのときのように!早く元の世界に戻してよ!!」 声の限りに叫んだ拍子に  カタカタ小さな起動音 鼠一同後ずさり  クララの瞳に飛び込んだのは 昨日と同じ  あの光景 「君は僕のお友達。初めてできたお友達。君を泣かせてなるものか。」 剣の音  鼠の叫び  そこかしこに飛ぶ毛皮  飛沫 幼いクララは良く分からない 唯一分かる  これだけは クララ:「王子様が 私のために  一生懸命戦っている!」 傍に置かれた  ガラスの花瓶 すきを見せよろめく鼠めがけて 力の限り  振り下ろす あっという間に鼠は消滅 これまでにない  疲労感 クララはドサリと倒れ込む 胸に抱かれた木彫人形 カタカタ  カタカタ  小刻みに震える 
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