第5幕

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第5幕

額に感じる温かさ 体を包む柔らかさ 目覚めたクララは宮殿の 広い広い寝室に 王子:「大丈夫ですか?姫君。ずいぶんお苦しそうでした。」 クララ:「あぁ王子様。夢を見たの。とっても怖い夢を見たの。     貴方を襲った鼠達に  連れ去られそうになったのよ。」 王子:「それは  それは  大層怖く  心細い夢でしたね。」 クララ:「だけど貴方が守ってくれた。鼠を全部倒してくれた。」 王子:「鼠は私に呪いをかけた。人形になる呪いをかけた。     貴女のように  美しい人だけが  私の姿を戻せたのです。     僕は愛しい貴女のために  この生命を捧げます。     たとえ夢の中であっても  貴女を僕に守らせてください。」 そっと手に口づけされて  クララはまたもや夢心地。 夢にまで見たお友達は  夢にまで見た恋人に。 鼠がいない  この国は 平和で温和な毎日を 大好きな人と送れる国 幼いクララはやがて成長し 王子の后となりました。 それでも時々見てしまう あの恐ろしい鼠の夢は 必ず王子が現れて あのときのように守ってくれる クララはとっても幸せで 純真無垢な  愛を育み 世界一の国を作りました。
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