12月19日(火) 菜月

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12月19日(火) 菜月

「やばい!」 昨日、ベッドに飛び込んでそのまま眠ってしまったらしい。時間を見るともうお昼だ。ここにきて寝坊だなんて本当に嫌になる。私には時間がないのに…。 とりあえず、自分の部屋にあるものを使うしかない。日記帳なんてないしなぁ…。 とりあえず、机を見てみると使っていないノートが出てきた。 (これに日記を書くか。待てよ。明らかな日記帳だとみるのを躊躇われるけどノートなら見てくれるかも?逆に日記帳じゃなくてよかったんじゃないか?そう思えてきて元気が出てきた。これに日記を書いて感謝の言葉を入れればいい!日記を書くと言っても私はそんなに何日も前のこと覚えてないし、12月に入って始めたもので何かエピソードがあったら書くというものってことにしよう。) そう思いつき、LINEのやり取りを遡りつつ、感謝の気持ちを綴り始めた。  日記を書いているといろんなことに気づかされる。まず、本当に有紗にはお世話になった。中学からの付き合いで、私のことを一番理解してくれているし、何より話していて楽だった。性格は反対だけれど好きなものも合うし、毎日楽しかった。だから、楽しかった思い出もたくさん書いた。そして健太には本当に迷惑をかけた。ほぼ毎日教科書借りてたなぁ。そして、お母さん。お母さんには感謝しかない。父親もおじいちゃん、おばあちゃんもいなくて、本当に2人だったけれど寂しくないように育ててくれた。お母さんとの会話を思い出しながら日記を書いて行った。本当にたくさんある。まだ日記を書ける日にちはあるし、一気に全て書かなくてもゆっくり思い出しながら毎日書いていこう。他にもここにいるうちにできることをやらなくては。そう思い、何日分か書いたところでノートを閉じた。外はすっかり暗くなっている。夢中になって日記を書いているうちにこんなに時間が経ってしまったのか…。そんなことを思いながらお母さんのいるリビングに行った。  お母さんは一人でアルバムを見ていた。そして、泣いていた。何度見ても胸が苦しくなる。お母さんには見えないってわかっているけど、同じ空間にいたくてお母さんの横に座って一緒にアルバムを見ることにした。こうしてゆっくり時を過ごしたのは久しぶりな気がする。 「こうしているとなんだかそこに菜月が座っているようだわ。ねぇ、菜月。いいお友達を持ったわね。」 突然お母さんが話しかけてきてびっくりした。でも、すごく幸せな気分になる。またこんなふうにして時間をつくりたい。明日からはしっかりお母さんと過ごす時間を作ろう!お母さんには私が見えなくても近くにいたい。 その日はお母さんに付き添って夜中までリビングにいた。
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