12月25日(月) プロローグ

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12月25日(月) プロローグ

「うわあ、本当に雪降ってる!積もってる。」 朝から、菜月というこの高校生の女の子は騒がしい。今時の高校生は皆こうなのだろうか。ここではあまり関わる機会がないから忘れてしまった。夕方ごろ幼なじみだと言い張って譲らない健太という男の子と有紗という親友がポストカードと日記を見るところを見ながら泣いて喜んでいた。有紗と母親の誕生日にはケーキが届くようにしたらしい。まだ先なのに楽しみだと嬉しそうに語ってくれた。死の瞬間、魂が気絶してしまったこの子もしっかり地上に止まってやり残したことをやり切れたようでよかった。まあ、本来は何も未練がない状態でここに来れるのが一番なのだが。人間とはなかなかよく深いもので皆何かしらこの世に未練を残している。その残した未練を断ち切る手伝いをするのがこの俺天の番人の仕事でもあるのだ。
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