12月12日(火) 菜月

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12月12日(火) 菜月

「あーーー」 自転車をこぎながら叫ぶ。昨日の小テストは散々だし、昨日返された模試の結果もひどかった。見事にE判定ばかり、唯一のD判定は親にお金が厳しいといわれている私立。嫌なことが続いている割に体は軽い。自転車もぐんぐん漕げる。 「もう私、志望校下げようかなー。」 学校について机に突っ伏しながらそんなことを言ってみる。 「えー、それはだめだよ!」 小声になって有紗が続ける。 「だって健太くんと同じ大学に通うんでしょ?」 「そんなこと言われたってあいつは頭いいし…。あーあ、あいつはA判定なんだろうな。」 「もう健太くんに勉強教わったら?」 「無理無理!私、アホすぎて呆れられちゃう!それに健太は私が同じ大学目指していること知らないし。あ、ヤバイ!数学の教科書忘れた!」 そういって教室を飛び出し健太に教科書を借りに行った。
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