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7.秘密はいつかばれるもの
来年までには――。
甥っ子の航が志望校を決めるまでには、カナの気持ちも決める。
耀平に、ひとまずそう伝えた。
彼もいきなり結婚を申し込んだことは良くわかっているだろうから、『それでいい』と受け止め、山陰の実家へと戻っていった。
五度目のチャレンジはうまくいった。形も色合いも思い通りになり、カナも満足した。
次に義兄が、いや、社長が来た時に見せて、今後どのように扱うのか判断してもらう。
約束していた『切子グラス』の作成に取りかかる。この工房の特徴にしようとしている文様を、店舗がある工房の職人と話し合った。その中の文様の原画を揃え、カナはガラスの表面を削るグラインダーの前で座りっぱなしになる。
前回はガラスを吹いてグラスを作るところから、グラインダーで模様を削るまで。すべてカナがひとりでやった。でもそれだとたくさんは作れない。
それを義兄にいうと、作家ものとして売るものではなく、一般客に手軽に売りたいから、カナが模様をつけたものであるならそれでいいと言ってくれた。なので今回は、吹いて作るグラスの工程はヒロにしてもらうことにした。
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