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母に暖かい飲み物を作ってあげる。母と揃って二階へ行き、母に用意された部屋に二人で入った。
暖かなベッドカバーが掛けてあるベッドと、丸い小さなテーブル、そしてソファー。柔らかい灯りの中、母娘がそこに向き合う。
「甲府と勝沼が近いから、ワインがおいしいのよ」
ちょっともったいないが、お酒が弱い母には温めてアルコールを飛ばした方が飲みやすいだろうとホットワインにしてあげる。
「ありがとう。カナ」
寝るまでけっして人前では部屋着姿など見せない母は、まだ来た時そのまま、きちんとおでかけ着姿だった。
親方は夜になると、間接照明とランプにする。この部屋にもランプを準備してくれていた。ほのかに部屋を照らすガラスのランプは親方のお手製。ほのかで柔らかい灯りの中、母が俯くと歳を取ったことを感じずにいられなかった。
「あら、おいしい。貴女、意外となんでも作れるのね」
「またそれ。いちおう独り暮らしも初めてではなかったのでなんとかやっています」
母が静かに笑った。
「そうね。広島の大学、小樽の修行、三十になって家出。それはそれでカナのためになったのではないかと思っているわよ」
「……ほんとに?」
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