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「金子さんというの。国大をトップで卒業していて、家柄もいい人だったみたい。頭が良くてクールで、でも、とても優しい人だった」
姉と金子氏の性癖に、金子氏の本性。これは隠そうとした。それを隠した上で、なるべく真実に近しい説明になるようカナは心を砕く。
「それ、航と似ているわ。あの子、変なところで割り切りが凄くてクールなの。耀平さんは生真面目な分、人を気遣うところがあるんだけれど、航はけっこうバッサリしているの。でも冷たいふりして、後でちゃんとフォローをしていたりしてね。美月とも耀平さんとも違う気がしていたの」
「わたしも時々、もしかして……とは思っていたの。久しぶりに会って、とても似てきていたからびっくりした」
「耀平さんは、いつ?」
「わたしが小樽にいる間に、誰にも内緒でDNA鑑定をしていた。義兄さんの子じゃなかった」
母が今度は額を覆って、深いため息を落とした。
「では……。耀平さんはもう何年も私たちに黙って、自分の子供として育ててくれていたの? そんな血の繋がりがない素振りなんてまったく見せもしなかったわよ。本当に航を慈しんで、私と一緒に育ててきたのよ」
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