14.妻がいない婿殿だから

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 婿殿に酷いことをさせていたと、また母が泣きさざめく。 「金子さんは結婚できるような男性ではなかったの。だからお姉さんも諦めて、耀平義兄さんと生きていく決心をしていたんだと思う。でも……駄目だったみたい」 「亡くなったその方に、どう詫びればいいの。どう……。耀平さんにも、酷いことを強いてしまったわ」  気に病む母に、カナは……。 「でも、たぶん。俺はこれで良かったんだって……言ってくれると思う。本当にうちのこと心配してくれていたの。自分が悪者になっても守りたいみたいだった。最後に会った時、お父さんもお母さんも、義兄さんも、そして最後に言いにくそうにして航のことも、守ってくださいって言われた」 「そうだったの。ひと目、お会いしたかった……。耀平さんは嫌がるでしょうけれど」 「うん。金子さんに内緒で会ったことも、義兄さんを傷つけてしまったの」  涙が止まらなくなった。一緒に暮らそうねと深く愛しあった夜の翌日、別れの夜になった。あの日がいまでも昨日のように蘇る。 「花南、こっちにいらっしゃい」  母がふくよかな身体で、花南を深く抱きしめてくれた。 「お母さん」
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