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「わかったよ。父さん。うん、お金も大丈夫。連休が終わるまでにちゃんと連れて帰るよ。あの教育ババ様のお祖母ちゃんが、学校を休ませるなんてことするわけないじゃん……。うん、もしかすると一日二日は今回は特別だよって欠席させるかもしれないけれど、それぐらいだよ。俺もそのころには帰りたくなったとだだこねるからさ」
ドアに聞き耳を立てていたカナは『まあ』と驚いた。
母の家出。母は航を味方につけてやってきたと思っているようだが、実は、婿殿と孫がタッグを組んでお祖母ちゃんの我が侭にうまくつきあっているらしい。
しかも航の大人びた口調! 大人のような考え方! 小さな男の子だったのに、いつのまにか大人を逆手に取っている暗躍にカナは呆気にとられてしまった。
「カナちゃん。父さんの結婚を知って、やっぱり哀しそうだったよ。もう、あんな若い女の人、うちに来なくていいよ。なんで、山口の家に連れて行って花嫁修業なんて名目で住まわせちゃったんだよ」
見合い相手を、山口の家に……。あの家で花嫁修業?
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