14.妻がいない婿殿だから

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 愕然とした。義兄さんが結婚することはなんとか受け入れようと思っていたけれど……。もちろん、航が高校生になったらあの家で一緒に暮らすだろうと思っていたけれど。  カナ以外の女性を入れてしまうだなんて……。  わかっていたはずなのに、出て行ったのは自分なのに。やっぱり嫌。  どうして。お義兄さん。義兄さんは平気なの? 他の家を見つけてよ。  わたし達が愛しあった家で、新しい愛なんて紡がないで……。  ドアの前で膝を落とし、カナは声を殺して涙を流す。  ひとりでいきてゆく。これから本当に、ひとりでいきてゆくことになる。  
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