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甥っ子が持ってきた義兄の言葉に、カナは打ちのめされている。
居場所がわかっても、どうして義兄さんがカナに関わらなかったのか。
初めてわかった気がする。
――わたしを、家からも、自分からも、『自由』にして? ガラスがあってこそのカナだからと手放してくれたの?
カナが家から解放されるということは、家を守ろうと縛っていた『秘密』から解きはなたれることを意味している。
義兄だけじゃない。姉から大きな秘密を預けられた妹としても自由になる。
もうその秘密は、おまえのものじゃない。この家のものだ。おまえがひとりで握りしめていたものを手放して。その手でガラスを吹け――。
おまえのために、自由にするんだ。
もう俺の傍にいなくてもいい。
秘密で傷ついただろう俺を案じなくても良い。
俺は航と生きていける。
だから……。義兄だったばかりに、おまえを縛ったから、もう義妹でなくても情愛がなくなってもいい。
寂しい兄貴のことは、もう気にはせずに。自由にカナらしく。
ピキン、パリンと歪む氷の音色と一緒に、そんな義兄さんの声がカナには聞こえてしまった。
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