16.瑠璃の空を粉々にして

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 それでもあちら様が乗り気のようで、そこまでして倉重と提携したいということは、金銭的にはこちらが『上』ということか。  あちらは一族経営の会社が少なくとも兄と弟で二社あるということ? そして県会議員のお父様のバックアップをしろってこと? 金のバックアップをしてくれたら、様々なツテやネットワークに顔が利くようになるというのが、倉重家のメリット? 「お金目当てなの」 「まあね。でもお父さんは地方でしか顔が利かない経営者という位置づけですから、もっと広い地域に進出するのに人脈やコネが欲しいのでしょう。地元の県会議員となると、内閣と近しい土地柄ですからね。太いパイプになるでしょう」 「それで親子ほど歳が離れた耀平兄さんと? お嬢様がかえって気の毒のような」 「かといって、航が成人してから婚約するといっても、あちらのほうが十歳も年上のお姉様になるし、私としてはこちらのほうが絶対に許せません」 「それなら。お母さんは、耀平兄さんとお嬢様の方がまだマシだというの」  『まさか。どちらも嫌!』と母が憤った。どちらも嫌だから家出をしてきたんじゃないの! と。
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